技術コラム

画像処理用照明の種類と特長

光入門

2022.08.24

1.照明の役割

製造現場において、部品や製品の品質を維持・保証するために外観をチェックする必要があります。それを外観検査といいます。

外観検査の方法には、

        1. 人が目で見て製品を検査する「目視検査」
        2. カメラで製品を撮像して検査する「画像処理検査」

の二つがあります。

現在では、検査対象や欠陥等の微細化、検査の高速化、省人化やコストダウンなどを背景に、「画像処理検査」が主流となりつつあります。

 

その「画像処理検査」を行う上で、欠かせない3つのアイテムがあります。

カメラ、レンズ、そして照明です。中でも、画像処理検査における照明はとても重要です。

 

では、私たち人間の目で見てキレイな画像が、「画像処理検査」に適しているのでしょうか?

実際には、「画像処理検査」にあった画像を作る必要があります。

光量、照射方法、照射方向、波長(色)の組み合わせによってカメラで撮像する画像に大きな影響を与えます。

つまり、照明の良し悪しによって、画像処理検査の検査精度が決まるといっても過言ではないほど、とても重要な役割を果たすのです。

 

 

2.照明の種類と役割

LED

LEDは、Light Emitting Diodeの略で、直訳すると「光を発するダイオード(半導体素子)」という意味で発光ダイオードとも呼ばれます。

LED(発光ダイオード)は、Ga(ガリウム)、N(窒素)、 In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)、As(ヒ素)などを合成して作られ、これらの元素により構成された化合物がLEDと呼ばれる半導体です。

この半導体を構成する材料によって、放出する光の波長(発光色)が決まります。

蛍光灯が放電現象を利用して電気エネルギーを間接的に光に変換しているのに対して、LEDは電子を直接、光に変換しているため、エネルギーの変換効率が高い=省電力の光源といえます。

また、寿命が長い、波長(色)が豊富などとメリットが多いことから、近年、画像処理において幅広く利用されています。

画像処理検査におけるLEDのメリットは、

          1. 照明形状の自由度が高く、コンパクトに製作可能
          2. 光の3原色RGBとIR、UVを簡単に選択可能
          3. 省電力、長寿命
          4. 照明からの放射熱が少ない
          5. 点灯(ON/OFF)の応答性が良い

などが挙げられます。

 


蛍光灯

蛍光灯は、アーク放電現象から生じる紫外線を蛍光体に当てることで可視光を発する光源です。

一般的に、ガラス管の内側に蛍光体を塗布し、水銀を封入して密閉して管の両端に放電用の電極を付けた構造です。

発光原理は、両極にある電極に電流を流す事で、両極間に熱電子を放出し、その熱電子がランプ内に封入されている少量の水銀電子と衝突、紫外線が発生し、この紫外線にランプ内に塗布している蛍光体が反応して発光します。

この蛍光体を変える事で、昼光色、昼白色、白色、電球色の色を作り出し、より自然光に近い三波長型蛍光灯などもあります。

従来、白熱電球より寿命が長いことから幅広く利用されてきました。

また、形状としては棒状の直管蛍光灯、円状の環状蛍光灯、電球状の電球型蛍光灯があります。

 


ハロゲンランプ

ハロゲンランプは、白熱電球の一種でフィラメントに電流を流しその電気抵抗によりフィラメントを高温にし、温度放射の原理によって光を発する光源です。

発光原理は白熱電球と同じですが、一般の白熱電球との大きな違いは、ガラス球に石英ガラスを採用し、封入ガスにハロゲンガスを封入している点です。

ハロゲンランプの方が明るい上、寿命が長いという特徴があります。形状がコンパクトで、ハロゲンサイクルにより優れた寿命特性と光束維持率特性を発揮することができます。

使用中の明るさや色温度の変化が少なく、画像処理においては、最も多く使用されている光源の一つです。

 


キセノンランプ

キセノンランプは、高輝度放電灯の一種で、キセノンガス中での放電による発光を利用した自然光に近い光を発する放電灯です。

石英管の中にキセノンガスを封入してあり、白熱電球と比べて、より明るく、消費電力が低い上、寿命が長いという特色があります。

クセノンランプとも呼ばれ、主に映写装置の光源や投光器などに利用されています。ショートアークランプやロングアークランプ、フラッシュランプなどがあります。

ハロゲンランプよりも高輝度で、画像処理においては、ストロボ光源として使用されます。

 


メタルハライドランプ

メタルハライドランプは、高輝度放電灯(HID)の一種で、ランプ内にメタルハライド(ハロゲン化金属)と水銀の混合蒸気を封入してあり、アーク放電によって発光します。略称としてメタハラと呼ばれます。

輝度が高いのに加えて、消費電力が少なく、ランプ寿命が長いなどのメリットがあります。

従来、道路やトンネルなどに用いられてきました。大型建築物の屋内や、観賞魚の水槽向け、スポーツ施設のナイターなどに使われています。

 


タングステンランプ

タングステンランプは、タングステンフィラメントの白熱電球をいい,電球内が真空のものと,アルゴンを封入して効率を上げたガス入りとがあります。

形状、ワット数など種類が豊富で、かつ低コストで入手できます。

交流点灯の場合は照明変動が生じるため、画像処理においては直流安定化電源を使うのが一般的です。

 

 

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